■ 神奈川県立金井高校修学旅行報告

神奈川県立金井高校修学旅行報告

体育館で挨拶する柿澤先生 体育館でマタギの話しを聞く生徒 マタギの大谷石捷さん

 10月3日この日は神奈川県立金井高校の修学旅行で、195名の生徒が白神自然学校を訪れました。1年前から2回ほどプレゼンテーションで学校を訪問し、生徒の自主性に応じた6コースの白神山地の体験コースを選択して実施しました。朝、小雨の中、宿泊のホテルグランメールを8時に出発した生徒は、マイクロバス8台で、9時ちょっと前に白神自然学校に到着し、9時10分から開校式を実施しました。最初に担当の柿崎先生から挨拶があり、その後に白神自然学校校長の大谷太智雄校長より、歓迎の挨拶がありました。そして、受入スタッフの紹介と続き、最後に生徒代表より、この日を楽しみにしていたという挨拶があり、各コース毎に生徒と担当講師陣は散っていきました。各コース毎の体験を紹介します。
林業体験 講師:大谷達男 佐藤久範 2名 参加者4名
 地元で実際行っている林業を通した山づくりを学ぶものである。白神山地は弘前藩時代から、ブナの木を燃料として使ったり、炭にして使ったり、リンゴの木箱として利用してきた。また、この地域は隣県が秋田杉の産地でもあり、里では「秋田杉」を育て、販売していた。今回、「白神自然学校遊々の森」という森林管理署と締結し、林業体験を実施できる杉の造成地がある。ここで、杉の木の伐採、枝落とし、加工、搬出までを体験し、林業と向き合った生活の一部をかいま見る体験を実施する。

 講師の大谷達男さんは、今、現在も森林管理署の仕事をしている人で、「大忠林業」を経営している、この地方の林業家でもある。

9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
10時自然学校出発
10時30分 遊々の森到着 準備運動と作業開始
12時まで 伐採 枝落とし、下草刈り
13時〜
14時30まで 木材搬出
15時 ハロー白神見学(WC)
15時30分 自然学校戻った
 
遺伝資源保存林&津軽森散策 講師:今 正博 村上光徳2名 参加者29名
 遺伝資源保存林は、白神山地の中でも比較的きれいなブナが残っている箇所です。この森を散策することで、ブナ林が「緑のダム」と言われる腐葉土の上を歩くことによって土の感触と、ブナ林の中で、ワンダーリング(森の中をさまよい歩く)を通した森林浴を楽しんでもらいます。高木の種類、低木の種類を見つけたり、聴診器でブナにあてて音を聴くのも楽しみの一つです。また、津軽森は、青森から南の秋田県の核心部分を見下ろすことができる眺望が素晴らしい箇所です。ここから自然遺産のブナの森の素晴らしい絶景を眺めてください。途中の散策路には、一昨年倒木したブナの木が倒れて、普段はみれないブナの根の構造をみることができます。また、熊が使った穴を確認することもできます。

9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
10時自然学校出発
11時30分 遺伝資源保存林散策
13時 津軽森登山道入り口到着
14時30分 出発(WC)
15時30分 ハロー白神
15時50分 自然学校到着 
 
一ツ森登山 講師:永井雄人 20名
 一ツ森山は、自然学校の裏山である。この山は、昔から一ツ森という名前がついてるように、鯵ヶ沢町から赤石渓流に入ってきて一番最初に見える山である。昔の人々はこの山を目印に一ツ森を目指したと言われている。眺望はあまりよくないが、天気が良ければ日本海が見える。また、この頂上から白神自然学校が見下ろせるところがあることと、この山のぼりの傾斜は白神山地のV字型の沢のぼりの感触と似ているので白神山地での沢のぼりの感触を楽しむことができる。また、下山の場合、コナラの森の中をとおる。道はないがよくカモシカ・日本ザル・ツキノワグマがここのドングリを食べに現れる森であり、貴重な出会いがあるかもしれない。

9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
10時自然学校出発し、サナイ沢から入る
10時30一ツ森入り口から登山
11時30分〜12時登頂休憩 <br>
13時下山して昼食、下山(道がない所を下りてきた)
14時30分自然学校到着予定
15時〜ハロー白神
15時50分 自然学校戻り 
 
植林体験 講師:近藤隆一 松田2名 参加者16名
 ここの津軽沢林道の植林地は、白神山地の緩衝地帯の外側であるが、近くには天然記念物のクマゲラも棲息していることがわかっている。また、白神山地で一番長い赤石川は核心部分まで入っており、ここの沢はその支流ともなっていて、金あゆをはじめイワナ・ヤマメ・シャケなどの豊富な漁場を提供すると共に、日本海に豊かな水が流れ込み良い漁場となっている。日本の自然遺産は屋久島・知床、そして、白神山地だが、この遺産地域の中での自然保護の活動は、屋久島・知床は車両規制や人の規制が敷かれているが、白神山地の場合は自然保護は、植林を通してのブナの森の復元・再生にあることが他の地域と違う所である。白神山地を守る会のブナの苗床事業を見学し、人々が森と係わり資源循環型の森づくりをしてきた取り組みを感じ取ると共に。太古の昔から築き上げてきたブナの森の復元・再生事業の一端を経験してもらいたい。また、津軽森の山からその太古の森の「生きた化石」を望み、400年もののブナの代表マザーツリーに思いを馳せ、日本の縄文時代にタイムスリップして頂きたい。

9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
10時自然学校出発
10時10分ブナの苗床を見学し、苗木をポットに詰める
10時30分出発し、植林地へ
11時30分到着 植林をする
12時00分昼食後
13時30分もどり
14時マザーツリー到着(WC)
14時30分マザーツリー出発し
15時50分自然学校到着 
 
郷土料理体験(案)講師:吉川進さん大谷圭子さん・大谷節子さんら8名
参加者35名
 この企画のねらいは、自然遺産白神山地の里の人たちは、白神山地で採れる山菜などの自然の恵みを季節季節に、採取しどういう料理をつくり生活しているのかを地元の方達から、山に行き、採取の仕方を学び、そして料理の仕方を学ぶことにより、自然の恵みのありがたさ、自然と向き合った生活者の生き方、を通して、人間の基本的な「生きる力」を学ぶ授業とするものです。

 9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
10時〜11時30分 ミズを持っている地元人の土地に移動して採取する。
11時30分〜13時まで、昼食を兼ねて料理をつくる
13時30分〜15時30分まで、山菜を利用したそのほかの料理を学ぶ。
 
木工加工体験 講師:鈴木健一 船水春雄 参加者30名
 白神山地は、林業中心の生活が何千年も続いてきた。今回は、白神山地でとれた木を加工して、今回の修学旅行の思い出に残るものをつくるということで、自然学校の看板づくりとベンチづくりに挑戦してもらった。
 地元の職人の技を盗み、是非、白神山地の木工の職人になって戻ってきてもらいたい。

 9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
10時自然学校体育館横の、杉の木を運び出して加工に入る。
12時 昼食
13時 加工作業
15時30分には、成果物が完成し、学校の出入り口に飾る 
 
白神ダイジェスト版 講師:上明戸正一、横山笙子、浅田麗子3名
参加者63名
 白神山地は、広葉樹の森です。たくさんの雨を大地に蓄えます。250年もののブナの木は、一年間に8トンもの水を蓄えると言われています。そしてその勢いは川を伝わり、滝となってその流れを大海へと連なっています。今回このコースは、白神山地を代表する滝、暗門の滝→マザーツリー(400年物のブナの巨木)→クロクマの滝を巡るコースです。存分にその水量の豊かさから森の深さ、自然遺産の豊かな森をイメージして頂ければと思います。

 9時〜9時30分まで全体集会(自然学校体育館)
 9時50分自然学校出発し
11時 暗門ヴイレッジ駐車場到着(WC)
11時10分 暗門ヴイレッジ駐車場出発
12時40分 駐車場に戻り、昼食
13時20分 マザーツリー
13時50分 駐車場出発(WC)
15時00分 クロクマの滝到着
15時40分 クロクマの滝出発(WC)
16時自然学校到着


 最後16時にコース毎に自然学校に集まってきた生徒は、赤石マタギの大谷石之丞さんのご子息の大谷石捷さんのマタギの話しを聞いた。子どもながらに、小さい時から、文字ではなく、毎日、身振り手振りで教わってきたとことが紹介された。本人は仕事をリタイヤした年なので、いま、自由にキノコ採りや山菜採りに山に入っているという。そして熊を捕ったときの話しなどを丁寧に話してくれた。また、自分が若いときの熊を仕留めたときの写真と、マイタケを採ったときの写真を生徒達に配ってみせてくれた。
 マタギの話しを終了し、閉校式を終え、ホテルに戻ったが、今回は最初は雨だったが山に入っていったら雨があがり参加した生徒さんもそんなに雨に抜けることは無かった。本当にお疲れ様でした。1人1人の心の中に、白神山地の楽しい思い出が残ってくれればとてもうれしいと思います。今度は、またゆっくり個人で、訪れて下さい。お待ちしております。大変に有り難うございました。
  

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