■ 森のようちえん 全国交流フォーラムinくりこま高原2005
森のようちえん 全国交流フォーラムinくりこま高原
 
2005.10.22(土)23(日)

くりこま高原自然学校
佐々木豊志


それでは、森のようちえん全国交流フォーラムin栗駒高原の開会を始めたいと思います。
本日は本当に遠いところから栗駒山の奥の奥まで来て頂いて本当にありがとうございます。私はここくりこま高原自然学校の代表をやっています。10年前にここに来てこういうことを始めた佐々木と言います。よろしくお願い致します。何回か手紙やメールでやり取りさせて頂いて各地からこういう風にするにはどうしたらいいのかとか、交通機関はどうなっているのとかいろいろな問い合わせを頂きましたがあまりこちらで細かいセッティングができなかったので多々みなさんにご迷惑をかけるかと思うのですが二日間みなさんと一緒に「森のようちえん」というテーマでやり取りをしながら有意義な時間を過ごせればなぁと思っています。二日間よろしくお願いします。
それでは簡単に今日明日のことをザクッと言いますと全国フォーラムということで今日これから午後、夜、明日のお昼を挟んで午後3時までフォーラムを行います。二泊で泊まられる方と今日だけ、明日だけと部分的に参加される方がいらっしゃいますので手渡ししましたみなさんのプロフィールをご覧下さい。限られた時間ですのでみなさんとやり取りをしてください。

これから基調講演ということでドイツにお住まいで森のようちえんという本を書かれている今泉みね子さんをお呼びしました。その後にパネルトークということで現場で活躍されている4名の方をお呼びして現場の話しをお聞きしたいなと思います。明日はその方々に2グループに分かれてもらってもう一歩踏み込んだ話しをして頂きたいと思います。
夜は参加者の方々でいろいろな情報をお持ちの方もいらっしゃるので限られた時間ですが情報交換の場をということで今回は9名の方がぜひみなさんに伝えたいということで申し出て頂いています。それから青い名札を付けているのがスタッフです。赤い名札は参加者の方ですので、何か分からないことがありましたらその都度青い名札をつかまえて聞いてください。それから携帯電話のスイッチは切って下さい。今回ここでの集まりのことを周りの人に是非伝えたいという人が多いのですがビデオやカメラを撮ったり録音してもいいですか?という問い合わせを何回も頂きましたがよろしいですよね?せっかくですのでここでやったことを是非持ち帰って伝えるとか輪を広げて頂きたいと思います。最近いろいろなことがありますが撮影、録音どんどんやってもらって悪いように使わないことを信じています。それでは、今泉みね子さんをご紹介します。



今泉みね子
みなさんこんにちは、今泉です。今回は9月23日に1年半ぶりくらいですがしばらくぶりに日本に来ました。今日は森のようちえんということでみなさんの方が専門家として現場でやっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるので、私がおこがましくも森のようちえんのことをお話するのは気恥ずかしいのですが、まずは経過をお話したいと思います。

 私は1983年〜86年に子連れ学生ということでドイツのフライブルクにおり、それから4年くらい日本におりまして、子どもは日本で保育園を経験した後は幼稚園はドイツでした。
 そのころ森のようちえんというのはほとんど聞かれていなかったし、私もその存在を知りませんでした。90年からもう一度娘と一緒にドイツに渡って、それまでは翻訳しかしていなかったのですが、ひょんなことから自分でドイツ語圏を中心としたヨーロッパの環状況について、日本の雑誌や専門誌に書いたり本を書いたり、あるいはこういうかたちで講演をさせて頂いたりする、という仕事を今に至るまでしております。その経過の中で、ゴミのことも書くしエネルギーのことも書くし環境教育についても書くということをしていました。
 数年前のある時、石川県の教育委員会から県知事に言われてドイツの環境教育について3ヶ月行って調べてこいと言われた方がいました。その方が私に森のようちえんというのはすごいですよ。あんな小さい子どもがちゃんとわかってしまうんだからと言いまして、私は森のようちえんのことはあまり身近に感じていなかったのですがあまりそう言うものですから実際に二つの例を見に行きました。
 あまり見てわかるというのは無いと思うのですが、ああ、こういうことなのか・・・と第一印象として素晴らしいと思いました。人が教え込むのではなくて子ども自身が森から教わるというものでした。それから森のようちえにについて本を読んだり人に聞いたりして森のようちえんという児童向けの本を書きました。
 森のようちえんは1960年代にデンマークのあるお母さんが子どもをつれて森に出かけて行った。つまり既成の幼稚園では飽きたらなくて散歩に行っていた。そしたら近所のお母さんたちがじゃあうちの子も連れて行ってと自主性幼稚園のように広がっていった。
 ドイツの場合は女優が自分の子どもを森に連れて行った。そしたら子どもが元気になるしセンスも良くなるしということでうちの子も連れて行ってということで評判が良かった。しかしその後ずっと停滞していて森のようちえんというのは広がらなかった。それはドイツの環境の問題と関係していると思うのですが、ドイツの環境運動というのは1970年代にごく一部の人たちが初めて反原発運動、森を守る運動を始めました。ドイツ人はゲルマン民族ですからも元々はドイツは全部森だったわけで森は心のふるさとです。それを先祖の代で全部切ってしまって原生林は無いという状態になってしまった。切れば大水になり土砂崩れが起こってあわてて木を植えましたが自然を守る森にしたのではなくてモミ、マツなどの針葉樹林を植えてしまった。つまりは日本のスギ、ヒノキと同じような状況になってしまった。壊れてきている森を元の状態に戻そうと広葉樹林も混ぜて自然林に近いかたちにしようということで行われていましたけれどいずれにしても人間が作った景観は、日本のように自然が作った自然景観とは違ってドイツは人間が作ったいわゆるこうさく景観、疑似空間です。それはそれなりに穏やかなきれいさがありますが日本のような雄大さはない。牧草地と森が織りなすベートーベンの第六のような感じですね。でも一方では、平地がほとんどであるおかげで森が近い。それぞれの町から森に行くことはとても簡単です。私が住んでいるのは人口20万のフライブルクの真ん中の住宅地ですが歩けば10分で森に入れます。
 70年代から森が壊れるということで環境運動が始まり80年代に盛んになっていろいろな環境改革が本当に花開いたのは90年代です。
それと平行して最初はお母さんが子どもを森に連れて行きたいという望みから始まったものが三つ子の魂百までもというように自然を愛することを知ったならばその気持ちがずっと続いていく。好きになる、おもしろいと思うことこそが自然を守りたいということにつながっていくという環境教育の効用というと言葉は嫌らしいのですが、なにしろ理屈を頭でなんだかんだ言う前にわからない小さい時に森が好き、動物が好き植物が好きというようになったらいいだろうなあということから森のようちえんが再発見されたということです。
その一部のお母さんたちが認可を市や州に頼んでだんだん認可の状況がよくなってきました。認可されるとどうしていいかというと認可されて初めて本当のようちえんとして認められて補助金が出るわけです。これは大事なファクターで補助金が出なければみんなに手弁当でやってもらうわけにはいかないしたくさんのお金をそれぞれのお父さんお母さんに出してもらえわけにもいかないから補助金を出してもらうということが大事なことなのです。ちなみにドイツでは先生ではなくて保育士と言いますが森のようちえんと言っても幼稚園ですから保育士がグループについています。1グループ10人〜15人に二人の保育士がつきます。その内の一人が正式の保育士でもう一人は見習い、インターシップの場合もあります。それだけきめ細かな対応ができるようになっいます。今現在ドイツ内ではデータバンクに把握されていないものもありますが470の森のようちえんがあります。それだけ多くなるとインターネットでも森のもようちえん用の防寒具や防水具などのグッズが売られるようになって森のようちえんは知られるようになっています。
森のようちえんを運営する団体ですがこれは日本で言うならNPOというのでしょうか、親たちが集まって利益を求めない登録協会を作ってちゃんと規約を作ってその団体が運営団体として届けて認可を受けて保育資産を雇うかたちです。でも初めの動機としては逆に森林教育を受けてきている保育士さんが自分でやりたいと思って付近の人に声をかけて森のようちえんをやりたいのだけど運営団体を作ってくれないかと語りかけてじゃあということで有志の親が集まってやり始めるというものもあります。それから既成の環境団体が森のようちえんのためにまた別の運営用の小さなNPOを作って届けてやっているというようにいろいろあります。
その内容は共通事項はありますが様々なのでドイツの森のようちえんの内容はこうですと言うことはでせきません。まず森のようちえんは園舎をもたない。これはだいじなファクターです。どうしても危ないとき駆け込み用に小さい小屋を借りたりはしますがそこに入って活動するということは原則的にはしません。園舎を持たないで雨の日も風の日も雪の日も毎日毎日森に出掛けて行ってそこで遊ぶというのが共通項です。
そのほかに本物ではない森のようちえんというのがあってそれは週に一回とか二回日にちを決めてみんなで森に行くというものでこれは森のようちえんとはあまり言っていないようです。もう一つはようちえんは3歳児からなのでその前の段階で森に出掛けてしまおうという森の幼児グループということで一週間に二回くらい短い時間朝の8時半から11時半くらいまで森に行くというもので歩き始めた頃に直ぐに森の土の軟らかいところに連れて行き新鮮な空気を吸わせるという意図もあるようです。これんが定義というか共通事項です。

では環境教育や自然教育に関係するところの状況もお伝えしたいと思います。
(以下、画像をみながらのの説明)
これは日本では環境都市として名高い黒い森の近くにある町のグループです。このグループの集合場所は学校の階段脇ということで10人で保育士とインターシップの二人でやっています。森のようちえんでは親がついてくるということはしません。親がついてくるとどうしたも親とのどうしても親との対応という風になってくるからです。親か半らどうしても離れられないという子は最初の何回かはついてくるということもあるようです。それからみんなが朝集まった時に必ず朝の儀式、挨拶をしますね。どうしてかというと小さい子というのは毎日同じ事が行われるということに安心感を覚えるから朝の挨拶は大事だと言われています。とにかく子どもがいいようにああだこうだ言いながら道草をくいながら歩いて行くわけですから歩くテンポは子どもが決める。晴れていても全員雨具を来ています。それはどんなこともできるようにです。子どもたちは読み聞かせの時間になっても誰も静かにしなさいという言葉は言いません。お互いを思いやりしかもお互いが協調し合ってやっていくという、解決するのもケンカごしではないというのが自然なかたちでみれたのがおもいろかったです。ドイツの幼稚園や学校では給食はありません。朝8時半から9時に来て12時までやってお迎えが来てお昼御飯を食べて午後はたいてい行かない。
 森のようちえんの場合は朝集合したら森に入って10時半くらいになったら食事をさすがに森のようちえんだけあってラップに包んでくる子とかアルミホイルにパンを包んでくる子とかパック入りのジュースを持ってくる子、ペットボトルはなくてみんなお弁当箱に版や果物を持って水筒にお茶などを入れてきていました。そんなことは常識で誰も議論はしません。それからここは2〜3歳の幼児グループで週に二回だけ行われているところで保育士が2人ついていて集合場所は駐車場の脇で朝の儀式の後森の中に出かけます。子どもにとって大切な要素というのがいくつか上げられていますがようちえんで特に対せ差だと言われているのは上下があるということ。高い低いがあってのぼったり下りたりすることがあるということがあること。もう一つエコロジカルなようちえんとして大切なことは隠れるところがあるるということです。子どもも一人になりたいときがあるし他の子どもから離れたいときもある、隠れてみたくなるときもあるそういう要求をかなえてあげるのが当然じゃないかと思います。これがドイツの森のようちえんの一日の経過です。
 近頃ではようちえんにわっては森に図鑑のようなものをもっていって知識の方もやるというのも聞いたことがあります。またそういうのは全く拒否してなるべく自然にないものは持ち込まないであくまでも自然から学ぼうということを中心としたところもあります。そこまではいかないけれどもようちえんの中に少しでも自然を取り込みたいという風潮、トレンドが増えてきました。
 例えばおもちゃのないようちえん。建物自体を木造にして屋上緑化にして子どもたちが自然の素材とふれあえて、既成の遊具でせはなくて丘をはい上がっていくとか人工的なものは使わない遊具を使う。父兄と先生が一緒になって作るというスタイルもあります。ドイツの場合は環境団体が子どもたちに自然とふれあう機会を与える様なセンターを運営している場合が多いです。
 もちろん半官半民で多くは環境団体や市民グループが運営をして全部中身は市民グループにお任せというところがあります。
 ミミズのカルロの話しは、昔は生活の中に農業があり自然があって子どもたちが自然とふれあうのが当たり前でしたが今は自然と共に生きるという機会がなくなってしまったということからある校長先生が残念に思って教室の中にミミズをキャラクターとしてもってきて始めたことです。
 先生はミミズはこうだ、ゴミはこうだと教え込むわけではなくて自然と子どもの中にしみこむようにしています。授業も全部ミミズとの関係で展開します。そこから発展して自分がやることで自然の循環を知ります。自然があるということは経済的にもいいということも知ります。
 さらに学校では観光案内の活動までしています。故郷のことを自分たちの言葉で自分が作った文章でお客さんを案内してあげる。それによって故郷への意識を持ちますし学校独自のプロジェクトも外から視察に来た方たちに子ども自身の言葉で教えてあげるということで自分たちがしていることを再確認して自信を持つというように自然教育というのはこういうことにまで発展させることができるということです。
 森の幼稚園で一番大事なことは、森のもつ多才さだと思います。その多才さというのはいろいろなことにおいてあって色であってもどんな素晴らしい絵かきであっても作り出されないような色を持っているわけです。また形であり質感であり寒い暑い風があるない、あらゆる音があります。
 それでいて静かです。味も香りもあります。探し出せばきりがないほどの全てに働きかけてくれるものを森林は持っています。そういうものがそれぞれの人間に語りかけてくれます。自然は私たちを差別しません。しかもどんな子ども人間に対しても語りかけてくれる受け入れてくれる。
 足の悪い人は悪い人なりに座ったり歩いたりして楽しめるし元気な子は走り回ることもできるけれどもそれが苦手でも自然を楽しめないわけではなくてゆっくりとはっていったっていいわけです。一人になりたい子は耳を澄ましていればいいしみんなで遊びたい子はそれでいいわけでどんな子どももいる場所があるのが森です。
その導き手としてはその多様性を損じることなく「これをしましょう」と「かこういう風に見ましょう」と教え込んではダメでその多様性にそれぞれの子どもがそれぞれの子どもなりに反応して発見して体験するということを助けるような導き方が大切だと思います。手を加えすぎてこれしか見てはいけないみたいな方向に行くことはこわいことじゃないかと思います。自然の持つ多様性のすごさを精一杯受け止めるのが森のようちえんの一番の大事さじゃないかと思います。それと同時に四季の移り変わりによる時間軸の変化、一日の移り変わりの変化。同じものが乾いていたりしめっていたり繊細に変化します。
 本当はこういうところから出てきた動物の一部だった人間が東京のようにコンクリートだけの所にものすごい騒音の中で住んでいると私たちの精神に悪いにきまっているわけです。正常でないのは当たり前です。ここから森に戻る事で私たちの脳も体もちゃんと働くのは当然です。森は眠っている幸福感をさまさせてくれて何がやりたいのか自分は何なのか子どもはそんなことばにして言い表せないけれどただ楽しいおもいろいという反応ですがそれは大事な幸福感だと思います。自然から離れてしまうと消費するようになる。いくら消費しても幸せではないから自分が何なのかわからなくなる。いい空気の元で体を動かす、暑さ寒さを感じて自分で脱ぎ着をする。運動能力、バランスを自分でとれるようになる。そして自分ができたということで自信がつく。気を付けることを学ぶようになる。教室で閉じこめられてはできない子どもたちで解決していく場がある。社会性が身に付く。
想像力。創造力。知的好奇心。落ち着きが出てくる。森はいいことばかりです。
全ての能力を使って一つ一つ体験してものごとを知っていく。そのプロセスをやるのが森です。
 これが本当の学習です。早くという一足飛びは途中が分からないから身に付かないしおもしろくない。学校は飛躍の教育です。
みなさんが森のようちえんに関心をもっているということでとても嬉しく思っていますし日本でこれだけ短期間の間にいろいろな方がいろいろな形でやってらっしゃるという対応性もすばらしいと思います。
 今度はドイツで日本の森のようちえんのことが紹介されるような日が来ることを願っています。ありがとうございました。

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