インターシップの受入についての考え方

  白神山地を守る会のインターシップ事業は、埼玉県ふじみ野市の文京学院大学から2名と秋田市の国際教養大学から1名受け入れた。文京学院大学の場合は、5月末から7月末頃までなので、ブナの苗床の苗木の整備と植林事業がかさなり大変忙しい時期であった。参加した二人はとても忙しく動き周り、白神山地でおこなわれている自然保護・保全活動を体験できたと思う。後の国際教養大学の場合は8月13日間のインターシップである。この間は、基本的にすることは植林地の下草を取る作業か苗床の草取り作業という単純作業しかない。本来、この手の活動をインターシップで実施した場合。どの時期に、どういう作業があるかを前もって明示することが大切ではないかと考える。学生は何を吸収し、何を学んだのか。とても気になるところである。実施者からみてのプラス面は、若い人たちといっしょに作業に参加することによって地元の人達が活き活きした取り組みができることである。この手の作業経験は初めてなので、「教わる、学ぶの関係ができていく」と共に、汗をかき寝食を共にする事により、働くことの意義や共同の達成感などを得ることができ、人間関係が深まる。また、自炊をする事になるが、過疎の田舎なので、スーパーマーケットも近くにない。地元の人達は自給自足の生活をしている。山菜の採れる春は、山に入って山菜を採ってくる。どれが山菜か、どうして食べるかという生活力と山菜の目利きが少しできるようになり、お金だけで、コンビニからすべて買ってくるような消費生活とは、全然違うから、生活力がつくと思う。しかし、私はもっとすごいことは、都会と田舎の違いということを肌で体感することだと思う。
 田舎というのは人と人とのコミュニケーションが欠かせない世界であるから、その中で自分という存在をどう地域の人に知ってもらうかという努力がとても大切であると思う。そして、耐えず朝起きた時から「おはようございます」から始まり、仕事が終わって、ご苦労様、お休みなさいまで、人との関わりが続く環境にこの期間いることになる。そのことが煩わしいと思う人には、田舎暮らしやこういう所でのインターンシップは無理である。

 ずっと長く生活していると、いろいろなことが見えてくる。一見、仲のよい社会のように見えるが実は、すごく仲の悪い部分も見えてくる。そうした人間関係の様子を知る事にもなるのである。
 その時に、自分はどういう行動をとるか。その辺が企業のインターシップ生として企業にいった場合、限られた狭い「会社」という社会の仲の人間関係や労働について経験を積むことはとても大事な経験だろう」しかし、それ以上に日本の地域社会は、過疎化・高齢化・若者がいないなど、日本の縮図としての課題にあえいでいる。言葉では言い表せないような現実がひきめきあっている。大変な課題ではなかろうか。インターシップでいる間に解決しようと思っても解決できない課題でもある。今の学生にはこういう地域社会と関わる機会は果たしてあるだろうか。少ないと思う。一ツ森地区ではじまった自然保護と地域活性化対策は、究極のエコツーリズム対策でもあり、グリーンツーリズムでもある。
 私どもはその他、国際ボランティアNICEからの外国人のボランティアを受け入れている。様々な国から、若い学生を中心に白神山地を訪れる。母国にはない日本の自然を喜ぶ人、戸惑う人、食生活から、生活習慣、すべてが違う。しかし、作業を共に行い、身振り手振りのジェスチャーで何とか意志が通じるものである。インターシップと外国人がまた、ここでの新たな出会いが発生し、共同の生活がはじまる。白神山地の大自然は懐が広いというか、白神山地を守る会・白神自然学校一ツ森校は、そんな人たちの出会いの場ともなっている。全国からインターンシップを申し込む場合は下記の一年間の作業日程を確認してから申し込みするのも大切だと考えるので掲載する。

                               白神山地を守る会 代表理事 永井雄人

  

 

白神山地のブナの森100年の復元・再生のための修復事業

Aは植林地の場合 Bは苗床の場合
  春 5月末

 ・ブナの苗床の苗木の寒冷紗あげと苗木起こし作業

     ・苗床の堆肥播きと耕耘作業 (B)

5月〜6月初め 
・植林地でのウサギネットや苗木起こし作業と下草刈り作業 (A)
・新しい植林地の地ごしらえ作業 (A)

6月末

      ・植樹祭(毎年第四週の土曜日を予定) (A)

 夏 7月 〜9月

・植樹地の下草刈り (A)
・苗床の下草刈り (B)

・白神自然学校遊々の森の枝打ちと除伐作業(間伐作業) (A)

  秋 10月〜11月初め

    ・秋の植樹活動 (A)

    ・種拾い(4年〜5年周期で並・豊作がある)(A)

      ・苗床の苗木の仮植作業 (B)

 冬 11月中旬〜4月

      ・冬の期間は雪の状態をみてビニールハウスや・苗床を監視する (B)
 

1年単位の繰り返し

 10年は、下草刈り除伐作業を繰り返し、100年後には広葉樹の人工林ができる

  白神山地のブナの森100年の復元・再生のための修復事業

 白神山地を守る会は、白神山地周辺部で自然遺産になる前に伐採されたブナの森を修復することが、白神山地の自然保護につながると考えています。

また、時は地球環境全体が、人間活動による二酸化炭素の放出により、温室効果ガスが発生し、温暖化が進み異常気象による弊害・干ばつ・ハリケーンなどによる被害が毎年増えています。