■ またぎ体験ツアー報告

またぎ体験ツアー報告

 2月16日午後、白神自然学校で、現役またぎの大谷石捷さんによる、またぎ体験ツアーが開始された。石捷さんは、赤石またぎの頭領、大谷石之丞さんのご子息で、次男になります。小さいときから石之丞さんにつれられて、白神山地の野山を歩いてきた経験を持ち、またぎとして熊も捕獲している現役またぎです。この日は、白神自然学校の青秋林道歴史展示室に展示してある赤石またぎの亡き父親の石之丞さんパネルから、またぎというものはどういうものなのか、赤石の伝統などを通して説明した。参加した滋賀県からきた女性は、現役またぎから直接話しを聞いたのは初めてと、とても感動していた。その後、かんじき(スノーシュー)を履いて近くの沢内沢方面に入り、木の種類や、またぎの狩猟についての語りは、参加者がとても感動した。
 参加者はその後、自然学校で、地元の山菜料理に舌鼓をした。冬の漬け物の味がとても気に入ったみたいである。
 二日目は、今度は十二湖のスノーシュー体験ツアーに出かけることになった。
 途中、関甕杉という樹齢1000年の秋田スギを見たり、樹齢1000年の垂乳根の銀杏の木も見学し、西海岸の木材の育林搬出の歴史にふれた。
 そして十二湖は、スノーシューを使うまでもないので、長靴で歩いてでかけた。日本キャニオンや崩れ山も薄く雪をかぶった姿はとても印象的だった。
 途中、木の冬芽を見たり、中にはスズメバチの巣まで発見することになったのも、とても楽しい散策である。
 約2時間半かけて青池にたどりついたが、途中、温暖化の影響でか、王池・鶏頭場の池の氷が半分溶けている光景を発見した。
 また、とても驚いたのが、クマゲラのドラミングの音があちこちから聞こえてきたのもとても印象的だった。普段十二湖は車で通りすぎるのが一般的だが、こうして歩くと、いろいろな鳥の音や、日本ザルの親子、カモシカの足跡などを発見できることである。
 この日の昼食は、白神汁とおにぎりである。野外で頂く白神汁は、冷たい空気の中で頂くと格別の味がする。帰りに「水軍の宿」の温泉に入り、夜は液晶による「白神山地の由来」と「青秋林道建設反対の歴史」を学んだ。またこの日は、ふきのとうを発見。早速、この日の夜のおかずに「バッケ味噌」としてでてきた。初物し笑いながらいただくという慣習にならい、みんなで笑顔で頂いたことも報告しておきたい。
 三日目は、朝、海の駅で、地元の海の味を買い求めた。また、途中の「イカ焼きロード」の干しイカと、イカの一夜干し、その他お土産を購入し、津軽が生んだ文豪、太宰治の生家がある金木町の斜陽館に向かった。参加した人は、太宰治が青森とは知らなかったらしく、津軽という風土と、地元の大富豪の商家の子として、小作人達が、コメを収めたり金を借りたりした光景を目の当たりにして育った太宰は、その後の太宰の生き方、文学にものすごく影響をした話しにとても感激し、津軽一円の畑作の歴史と白神山地を振り返った。
 その後青森市内で、三内・丸山縄文遺跡も見学、この地に1500年近くの安定した生活をした縄文人が住んでいた集落は、ブナを中心とした広葉樹の森で、栗とかを栽培していた話しに、広葉樹の森と人類という視点で、白神山地が世界遺産となった意義をを少し深く感ずることができたと喜んでいた。

 私たちが、またぎ達の生きざまと価値観を一般の人たちに伝えたい、ということで始めた「またぎ体験ツアー」は、参加者へその主旨を少しずつだが伝えることにつながってきたとおもう。白神自然学校の今年のイベントは、その辺を掘り下げた企画を今年は続けたいと考えている。参加者の皆様ご苦労様でした。

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