■ 「白神山地の由来」

「白神山地の懐に抱かれて」

第一話「白神山地の由来」

 宝暦3年(1753年)に作成された『津軽領内山沢図』(1739年から1745年の調査成果)に「白神嵩」「白神沢」と記載されていることから、「白神岳」の名称は、きっとその時代以前にさかのぼって命名されたものと思われる。

 世界遺産白神山地の名は、世界遺産になる前は「弘西山地」と呼ばれていた。ただ、世界遺産に登録された時に、林道建設反対運動の象徴となった弘西林道の名前では、おかしいという理由で、津軽地方の山岳信仰の中心にある岩木山信仰と絡めて、五穀豊穣祈願、民衆生活の安定を祈り、山岳信仰の象徴的存在となっている岩木山の民衆信仰の中にある津軽のオシラサマ信仰を、オシラサマの響きが何となく「白神」に通ずるということで、オシラサマはシラカミサマとなっていったと言われている。オシラサマ信仰は、馬とお姫様の悲恋の物語であり、その忘れ形見が蚕(かいこ・飼う蚕)とされ養蚕すなわち生糸・絹糸の豊産にささげた祈りとされている。北海道渡島半島の「白神崎」にもオシラサマが祀られていて「白神」と「オシラサマ」の関連があると考えられる。また、日本の名山に数えられるものに富士山、月山とともに、加賀の信仰の山・白山(ハクサンシャクナゲ、ハクサンイチゲ、ハクサンシャジン等の植物の宝庫としても有名)がある。加賀の「白山」を津軽に見立てたことから、津軽の白山、いわゆる「白神」に発展していったのではないかという説が有力である。


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