■ 「白神のブナの豊作の周期とツキノワグマの里への出没」

「白神山地の懐に抱かれて」

第三話「白神のブナの豊作の周期とツキノワグマの里への出没」

 
 日本の森林は気温が温暖で、雨が非常に多いのが特長だ。国土の7割が森林におおわれていて、面積になおすと約2500万haにもなります。日本の森林の総蓄積は約35億m3といわれ、東京の霞ヶ関のビルのほぼ6700個分にもなる。

 白神の森では動植物たちのドラマが展開されています。白神山地では特に大きな緑色の葉緑体(ようりょくたい)の葉を持つブナ、ホオノキ、トチノキの葉が、空いっぱいに広がり、炭酸ガスと根から吸い上げた水を使ってデンプンをつくる。これが光合成です。

 また、常緑広葉樹の森は、年間1ha当たり15〜20トンのばく大な量の有機物を蓄積する。白神山地は「緑の化学工場」と言ってもいいくらいだ。白神山地の山地帯という呼称は、500m〜1600mで温帯林の地帯を指しますが、本州では東北地方で、ブナ・ミズナラ・トチノキ・カツラなどが生える地帯を言う。この森では、ツキノワグマが棲息し、ブナの実を中心とした食べ物を主食とし、ニホンザルなども棲息している。
 特にブナの周期は大豊作・豊作・平年並み・凶作と四段階があり、4年〜5年単位の周期で実をつけます。ちょうど2005年度は大豊作でした。従ってそういう年は、ツキノワグマもブナの木に熊棚をつくり食べられるだけブナの実を食べ、交尾をし翌年には、子孫を残す。しかし、その次の年は凶作となり、山にはツキノワグマの主食が森の中に無くなる。そこで、里に下りてきて農作物を荒らすために、有害駆除の対象となるのである。
平成15年に白神山地の森林生態系保護地域全体が「国の鳥獣保護区に指定」され、マタギ達の数も減り続けるのと反比例するかのように狩猟ができない分だけ、今後ツキノワグマがどれだけ増え続けるのか検討もつかない。当然、人とのバッテングも出てきて、有害駆除動物として騒がれるだろう。


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白神自然学校一ツ森校 代表理事 永井雄人
 
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