■「白神山地で始まった環境教育」

「白神山地の懐に抱かれて」

第五話「白神山地で始まった環境教育」

 

 平成15年3月31日、白神の麓、一ツ森地区で町立一ツ森小学校が廃校となり、開校124年に幕を閉じた。白神山地を守る会は、この廃校を利用して、地元の人達と何度も懇談会を開いて、高齢者の林業活動と農家の体験を利用した、自然体験の学習をこの廃校で実施したいと地元の集会所に地域の方々に集まってもらい提案した。最初は、そういうNPOとかいう団体は知らないとか、人がくるかどうかもわからないとかいう意見が大半だったが、一ツ森地区の婦人会が、自分たちの技として、漬け物づくりや山菜採りの仕方を教えるぐらいだったら協力して良いということになった。この年の1年前、私は、ブナの種拾いに協力してくれないかと提案した。そのぐらいだったら協力しても良いと言ってくれた。そして種をバケツいっぱい採ってきたら、2万円を支払った。そのことが集落全体に伝わって、多くの方が私たちの方を向いてはくれていた。
 そしてこの年の10月「白神自然学校一ツ森校」を開校した。
 開校式には、大妻女子大学の岡島成行教授が駆けつけ「自然学校のゆくえ」ということで基調講演をしてくれた。あの日から3年目の2006年、今や全国から子ども達だけではなく、大人も白神山地での自然体験を求めてやってくる。
 2006年9月23日北海道網走市にある東京農業大学オホーツクキャンパスで、「知床−世界自然遺産登録と環境共生」オホーツク実学市民公開講座が開催され、屋久島・知床・白神の日本の自然遺産地域からの報告がなされた。その中でも大きな特長として屋久島と知床の自然保護は、車両規制とか、人をどう排除するかということだった。
 白神は伐採されたブナの森の復元・再生が行われているという指摘が大きな評価を受けた。私たちは地元の人達とパートナーシップを組みながら、白神山地を訪れたツーリスト達に、持続可能な社会づくりへの警鐘と、自然遺産をどう次の社会へつないでいくかという問いをこの植林活動を自然学校一ツ森校から情報発信することが遠いようで一番近い環境教育であり、社会貢献と考えている。


文責:特定非営利活動法人
白神自然学校一ツ森校 代表理事 永井雄人
 
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