■ 「白神マタギの伝説」

「白神山地の懐に抱かれて」

第二話「白神マタギの伝説」

 マタギは、白神山地を代表する赤石マタギの頭領はシカリと呼び、狩猟中のすべてを統率した。赤石マタギは、山に入る前には大然の「大山祇神社」に参り、お神酒をいただいて、猟の多いこと、災難が無いことを祈願する。お宮には、オミキ(酒)と魚を供えて、安全と大猟を祈願した。死人のあった目は特に良い日とされたが、お産のあった日と、祝儀のあった日はきらわれた。大安、友引の目とか、酉・午・丑・戊・寅の日は良いとされ、申の日は嫌われている。この神社は鰺ヶ沢町の指定文化財にもなっている。
 山の神は山のすべてを支配していて、山の神の怒りにふれないように、獲物を授けたりして、遭難をさけたりマタギを見守ってくれと信じられている。マタギの家には代々、巻き物「山立根元巻」(やまだてこんげんのまき)があり、マタギを守ってくれている。
 マタギは山に入ると、狩り場の近くに山小屋を造り、事前に炊事・生活用具等を運んでおり、みそや塩、野菜、干し物、餅、豆類などを持参し、普通7日から二週間程度熊を中心にウサギや鳥などを獲物に野山をかけずり回った。現存する子孫によれば猿も食べたという話しもある。
白神マタギは、古くからブナ林の生態系と深くかかわった山棲みの生活を営む人々のことをいう。マタギは山野を駆けめぐり獣や鳥・山菜などを捕っている。

 白神山地では現存する地区としては赤石マタギの里、一ツ森地区しかなくなった。このマタギは、江戸時代は津軽藩の管轄下として、クマの皮とか肝は藩に差し出し、変わりに米や味噌をもらっていた。

 マタギは夏場、田畑や山仕事に従事し、猟期がくると男だけの組をつくり獲物を追いかけていた。マタギの頭領はシカリとも呼ばれ、頭が指揮をとったとされている。赤石マタギはまた別名、一人マタギとも言われ、一人で行動している。シカリは経験・知識・統率力が優れたものが仲間内から選ばれていた。ここのマタギの頭領、故大谷石之丞さんが、赤石渓流近くの狩猟場に、青沼があり、そこにマタギ小屋を建てたという「幻の青沼」を探しに平成18年の夏山に入りついに発見した。静かに故人の思いを包んで静寂な青沼であった。


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