■ 小学5年生用社会・白神山地赤石川授業コース


私たちの生活と森林

 世界遺産白神山地のど真ん中を流れる赤石川は、南北に広がる白神山地にそって、全長45kmという白神一長い清流です。白神山地には、たくさんの川が流れています。大川・追良瀬川・笹内川・そして赤石川は白神を代表する川です。白神山地は、ブナを中心とした広葉樹の森です。この森はたくさんの水をたくわえる「緑のダム」の役割を果たしています。
 また、がいっぱいあります。白神周辺の町村は、ブナの森の豊かな水のおんけいを受けています。この水源地を白神のブナの森にもつ赤石川は、アユ・イワナ・ヤマメが捕れる川として全国的にも有名です。また、赤石川にはサケが遡上してきます。特に赤石川のアユは「金アユ」と言われ、シーズンになると全国から釣り人が訪れます。

 鯵ヶ沢町は、昔から漁港の町として有名な所です。日本海の交易の要としても、津軽藩の大切な海産物の港としても盛んな港でした。いまは、スルメイカ・ヤリイカなどたくさんの魚介類のとれる所で、イカ焼きロードというイカ干しの店が並んでいる所もあります。近年この日本海の海域は、名物のハタハタが不漁でしたが、ここ数年もどってきて、たくさん捕れるようになりました。これも、地元の人達が中心になって、赤石川の上流に、一本一本ブナの苗木を植える植林活動を展開した結果ではないでしょうか。

 多くの方が、世界遺産白神山地を訪れますが、地元の人達は白神山地で4年〜5年おきに実をつけるブナの実を大切に拾い集め(10月末頃)、土の中に種まきをします(11月はじめ)。そして、雪の下で春の訪れを待ちます。春になると、実生があらわれます(5月初め頃)。ブナのかたい殻(から)を破ってふたばの葉っぱがあらわれます。そして1ヶ月もすると、大きな葉っぱになって、太陽の光をこの大きな葉っぱで思いきり吸おうとします。光合成の働きです。ブナの子どもは、春から夏にかけて1年の90パーセント成長します。その後は冬眠です。この時のブナの苗木の天敵(いちばんこわいもの)は、雑草、ネズミ、ウサギ、カモシカです。そして、葉っぱにつく虫たちです。太陽の光をいっぱい吸った柔らかい葉っぱは、動物たちの大好物の食べ物となります。また、光を遮る(さえぎる)雑草は、とてもいやな壁となります。集落の人々は、ブナの苗木が一番成長しようとする夏場に、雑草をとったり、網をかけたりして、動物たちからブナを守ります(7月〜8月頃)。そして、殺菌剤(さっきんざい)をかけて、虫からも葉っぱを食べられないようにします。10月末〜11月初めには、根切れと言って、ブナの根を1/4ほど切ります。そして、仮植(冬の冬眠のために斜めに寝かせます)作業があります。この作業を毎年繰り返し、4年後には、植林地の山に戻す活動が続けられています。

 この作業には、白神山地を守る会の人たちや、全国からのボランティアの人たちや、緑の少年団の子ども達、事業者の人たち、漁協の関係者や林業関係者など、多くの方達が一丸となって取り組んでいます。世界遺産の山を守る活動は、実は豊かな赤石川の清流を守る活動となっています。そして、その豊かな水は、日本海に注がれ、海では魚がたくさんとれるようになり、自然の循環システムが成立しています。

 これまでの日本の自然保護の運動の歴史を見ると、開発などによって自然が壊されたり、危ないという時に、自然の生態系を守ろうということで運動が起こりました。しかし今、白神山地で行われている自然保護の運動は、「生態系の破壊」という面よりは、「白神山地のブナの森の復元・再生」という新しい面を強調した運動になっています。今は、都市の住民による温暖化防止のための植林だったり、市民のさまざまな思いが託された植林という形の自然保護運動となっています。

 この赤石川渓流には、幻の魚イトウ・金アユの養殖場があります。また、シャケのふ化場もあります。近くには、イワナの放流池もあり、くろくまの滝という白神一の高さを持っている滝もあります。この滝は「日本の滝百選」にも選ばれています。また、「ハロー白神」というビジターセンター、マタギ神社、1人マタギの大谷石之丞さんの銅像が建っている家や、ブナの苗床(然ケ岳下)、白神自然学校遊々の森(枝打ちや除伐などのできる森)、津軽藩発祥の祖と言われる光信公(みつのぶこう)の館である資料館などがあります。
 赤石川渓流を上ると、渓流沿いには、小さな滝がいくつも見えます。そして、だいぶ上ると、赤石川の右側に「青岩」と言われる青い崖が見えます。白神山地の成り立ちの地層が見えてきます。隆起している白神山地の地質は、とてももろくできています。
 白神ラインにぶつかり、西目屋村方面(左)に曲がって進むと、右側に津軽沢林道があり、そこを入ると、私たちが植林している植林地が見えます。ここでは、毎年6月、全国から参加者が集い、植樹祭を開催しています。また、5月から10月まで植林活動を展開しています。林道の真ん中あたりには津軽森登山道があり、その頂上から世界遺産の核心部分が、とてもきれいに見えます。
 また、白神ラインのつきあたりを右に曲がって少し進むと、奥赤石林道があり、そこを8qほど進むと、クマゲラの森があります(入山届出が必要)。さらに白神ラインを右に進むと、右側に奥赤石遺伝資源保存林というブナ林の散策林があります。もう少し先に進むと、天狗峠があり、そこからは天狗岳登山コースがあり、3時間ぐらいですばらしい核心部分が見える頂上にたどりつきます。また、白神ラインをそのまままっすぐ進むと、日本海に出ます。そのちょっと手前から左に入ると、神秘の湖、十二湖に行くことができます。ここでは「青池」というインクを落としたような、きれいな青色の池や沸壺の池を見ることができます。
 赤石川(川)は、白神山地(山)と、日本海(海)を結ぶ大切な大動脈です。緑の血液です。山の緑の森が健康であれば、きれいな緑の血液(水)が流れます。そして、その緑の血液は、日本海という大海原で、多くの生き物を育てます。このように、赤石川を中心とした山・川・海には多くの動植物が棲息(せいそく)しています。この生き物を調べてみませんか。
 また、白神の里の人たちは季節によって、白神山地の幸の恵みを頂いた生活をしています。ある時は山菜(さんさい)だったり、キノコだったり、川魚だったり、海の海草や魚だったりします。地元の人達は、白神山地の自然と共生しています。都会の人たちは、植林活動を通して共存のための活動をしています。この大自然の姿を見に、この赤石川を訪れてみませんか。
 過去に訪れた秋田市立高清水小学校の生徒達は、楽しい学習発表会をしました。私たちみんなでお迎えしています。

赤石渓流周辺のマップ

白神自然学校一ツ森校
校長 永井 雄人

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