「赤石またぎ」

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またぎ小屋

またぎは、山小屋(またぎ小屋)に泊まって狩猟します。狩りの根拠地としての小屋があるかないかによって、猟の成果やまたぎの疲労度に大きな違いが生じます。

 

小屋掛けは、田植え上がり(6月中旬以降)に行います。

≪山小屋の作り方・注意点≫

●壁は笹、屋根はシナノキの皮で作ります。
●雪崩が発生しないような地形を選び、大木の下に作ります。
●食糧は、いの一番に米と味噌を運んでおきます。
米は金属製の一斗缶に入れ、味噌は水が入らないように容器に入れて、長く保存できるようにします。
●周囲が湧き水のある所だったり、湿気が多い所だと、周囲に溝を掘って、少しでも湿気を防ぐようにします。
●高木が倒れて、小屋諸共潰されないようにします。
●風で枝が折れ、頭を直撃されないように気を配ります。
●小屋の中には柴を敷き、その上にイヌなどの皮を敷けば、立派な座敷兼寝床になります。
●近くに飲み水があるかどうかを確かめます。

 

 

クマの捕獲

昔は、今のような性能のよい道具がなかったので、クマの捕獲量は極めて少なかった。捕ったクマは莫大といえるほどの金になるのに、クマを捕ろうとする気持ちに反して、容易に捕ることができず、結局、クマを神からの授かり物だとする心情に拍車がかけられていった。

当時は、ほとんどの人は、槍(たて)を持って参加していた。地形を研究し、計画的に準備をし、クマと根比べしながら、山に寝泊りして、じっくり腰を据えた狩りをしていた。

≪持ち歩く道具の一例≫

●ゴトク(滑り止めの一種)
 山を横切る時、急斜面を上る時、固い所を歩く時に使用。
●木で作ったヘラ
 雪が深いときに用いた。 スキーのストックと、スコップの役割を果たした。
●先がY字型の二股になっている木の棒
 雪に刺し、この股木に銃を乗せて撃つ。
  動いて不安定な為に、銃を近くの老木に着けて、股木の代用にした。
●山刀
 柴切りや、万一の時に使う。
●環カンジキ
 雪上を歩く時に使う。
●履物
 生ゴムで作られている「ボッコ靴」や藁靴を履いた。

 

クマの解体

立派な師匠から手解きを受けた大谷さんは、知っていながら、古いしきたりにとらわれず、自分なりに考えた作法を用いて、狩猟上の行事を行ってきました。

クマを捕ると、大抵沢の端で皮剥ぎをしますが、その場合、オスは右手を川上にし、メスは左手を川下にします。
皮剥ぎが終わったあと、オスは右手を下、左手を上に組ませますが、メスはその反対に、右手を上に、左手を下にして組ませます。
それが終われば、剥いだ皮を、頭を尻の方に、尻を頭の方に逆さにして掛けます(逆さ皮) 。
最後に、キモを二つに割り、木に刺して傍らに立て、柴を手にして皮の毛を撫でます。
「いい皮だ、いい皮だ」といいながら撫でます。そして「猟をさせてもらってありがとうございました。」と言います。
家に持ってきた場合は、神棚の前にテーブルを据えて、クマの頭を肝を供えて拝むのを習慣にしていました。

 
クマの皮剥ぎ                   クマの解体


獲物解体後の祈り

 

 

 

「クマは捨てるところがない」といわれます。
クマは、薬用、衣服・敷物、食用など、さまざまに使われます。中でも貴重な部分は、ユウタンです。ユウタンは万能薬として知られ、現在においても高値で取引されます。

 

≪高価なユウタン(=クマの胆)≫

クマの胆(い)は、クマの胃ではなく、胆のうを干したもので、胃腸薬として全国に売られ、またぎの重要な収入源になっていました。
クマの胆は、冬眠を終えて穴から出たばかりの春クマのものが大きい。これは、穴の中で食べずに糞をしないで、脂肪をつけているためです。

 

≪クマの料理≫

肉は、串に刺して火で焼いたり、味噌煮にする。

●内臓は、脳味噌を混ぜて和えて食べる。

●腸は、独特な匂いがある。

●匂い消しの為にも、ねぎや唐辛子などの香辛料を入れると、 味が引き締まってとてもおいしくなる。



 

 

 

 

 


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