白神山地の特徴と経緯
白神の位置
白神山地は北緯40度20分から45分に位置し、ニューヨーク、マドリード、ナポリと同緯度となります。また、その範囲は北は鰺ヶ沢町から、南は藤里町、西は八森町から東は西目屋村と青森県が3/4と秋田県が1/4という割合で1000k㎡以上の広大な面積を持っている地域の呼称をいいます。
白神のおいたちと地層
白神山地の地盤は2400~510万年前の第三紀中新世の堆積岩でできていて、約800年前ごろから隆起が始まり、今でも年間1㎜動いていると言われています。花崗岩・凝灰岩・泥岩・砂岩・玄武岩の4層でてきてている。
白神文化
白神山地のブナ林の成立は今から約8000年前か9000年前と言われています。青森市で発見された縄文遺跡、三内丸山遺跡のブナ林と縄文文化の関係が、当時の人々の狩猟生活の骨や道具から発見されており、それらの狩猟を生業としているマタギとの関係についても調査が進んでいます。
ブナの歴史
世界遺産 白神山地の誕生は広大なブナ林が保存それていることです。そのブナの先祖は「アンチポフブナ」といいます。この化石はロシア東部から東北地方の一部で発見されています。大きさは長さ20㎝で、側脈が11~23対ですが、今の白神のブナは5~8㎝で、側脈は7~11対で、広い卵形をしています。また、日本に生育しているブナは二種類あります。ニホンブナとイヌブナです。もちろん、アンチポフブナから進化してできていきました。白神山地のブナはニホンブナです。
白神山地の地形の特徴
谷が深くV字型が多く、山頂は1000メートル級が多く、この尾根筋は比較的緩やかな傾斜になっています。これは白神山地が隆起している特徴の一つで日本でも有数の隆起地帯となっています。
その結果できた山が、白神岳・真瀬岳・二ツ森・小岳・青鹿岳・魔須賀岳など1000mの白神の山がある。その先には白神を代表する川がある。赤石川・笹内川・追良瀬川・、そして大川がある。また、崩落地が多いのも白神山地の特徴であり、十二湖の山腹の大崩は1704年のM7の地震でできたとされている。その時に十二湖もできたとされている。
ブナの特徴
① ブナの北限は北海道渡島半島の黒松内 南限は鹿児島県高隈山
② ブナの木は冬季の多雪気候に適応した種である
③ ブナ林とともにある草木類(ハンドブック白神山地の自然)P39の図を使う
滝群も多い
赤石川にはクロクマの滝群がある。大川沿いには暗門の滝群がある。追良瀬川上流には「ひぐらしの滝」がある。赤石川・笹内川・追良瀬川・大川の上流には「うおどめのたき」があり、中には20m以上の落差があり、イワナものぼれない滝もある。
白神の植物
白神山地の植物の特性は
① 標高が低いにもかかわらず高山植物が多い。(亜高山帯以上の植物は74種もある)
② 暖かい地系の植物も多い
- エノキ
- (深浦町が北限)・タブノキ(岩崎村が北限)・ハナゼキショウ(笹内川が北限)
ヤマアイ(岩崎村が北限)・カラスザンショウ(下北が北限)・アワブキ(下北が北限)
③ 特殊化した固有の植物群がみられる
アオモリマンテイマ(ナデシコ科)シラガミクワガタ(ゴマノハグサ科)
ツガルミセバヤ(ベンケイソウ科)オガタチイチゴツナギ(イネ科)
- トガクシショウマ(メギ科)花期5~6月
シラネアオイ(シラネアオイ科)花期5~6月
オニアザミ(キク科)花期7~9月
オニシオガマ(ゴマノハグサ科)花期8~9月
ツガルフジ(マメ科)花期8~9月
三内丸山の縄文文化
三内丸山遺跡は縄文前期(約5500年前)
地層からクリやクルミ・トチの種皮が発見され落葉広葉樹林が広がっていた。
クリの巨木を用いた大型建築物の柱根も発見されている。
クマやシカ・イノシシ・ノウサギなどの骨も発見されており、ブナ林で狩りの技術にたけた縄文人は森(の神)の恵みを、寒い北国の越冬をブナ林の恵みから得ていたと思われる。